20.05.2026
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EU、医薬品の安定供給に向けた新規則に合意

欧州内生産回帰の潮流と日本企業への影響:
深刻な医薬品不足を受け、EUが域内生産の強化と共同購入を柱とする「重要医薬品法案」に合意した。これは単なる保健政策に留まらず、欧州の再工業化と供給網の自立を目指す広範な戦略の一環である。欧州への投資や域内生産を重視するこの潮流は、ドイツ ノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州等に拠点を置く日本企業にとっても大きな追い風となるだろう。

欧州議会とEU加盟国は2026年5月、深刻化する医薬品不足の解消を目指す「重要医薬品法案(Critical Medicines Act)」に暫定合意した。背景には、抗生物質やインスリンといった重要医薬品の約8割から9割を域外(特に中国などのアジア圏)に依存している現状への強い危機感がある。今回の合意により、EUは「医薬品の戦略的自律」へと大きく舵を切ることになる。

新規則の肝は、欧州域内における生産能力の直接的な強化だ。「戦略的プロジェクト」に指定された域内の生産設備の新設や拡張計画に対しては、承認手続きの迅速化や、公的・私的資金へのアクセス改善といった強力な支援が提供される。さらに、公的入札において欧州内で製造された医薬品や原材料(API)の比率が高いサプライヤーを優先的に評価する、いわゆる「バイ・ヨーロピアン」的な仕組みが導入される点も極めて重要だ。これは、価格競争のみならず「供給の安全性」が調達の決定的な要因になることを意味している。

こうした動きは、先に施行された「欧州重要原材料法(CRMA)」と完全に軌をひとつにしている。CRMAがリチウムや希少土類などの戦略的原材料の域内調達比率(2030年までに加工の40%以上など)を定めたのと同様に、医薬品分野でも外部依存を脱却し、供給網を欧州内へ回帰させる「リショアリング」の圧力が強まっている。

この潮流は、すでにドイツ NRW州に製造・研究拠点を有する日本企業にとって、極めて有利な状況を生み出す。NRW州は欧州有数の製薬・ライフサイエンス拠点であり、域内生産を重視する新規則は、同州に投資する日本企業が公的入札で優位に立ち、支援策を享受するための強力な法的根拠となる。また、5カ国以上の要請による「共同購入」の義務化は、需要が不安定になりがちな希少疾患薬などの市場予見性を高める。欧州市場での存在感を高める上で、NRW州を拠点とした「域内製造」戦略の重要性はかつてないほど高まっている。

出典:https://www.dw.com/de/eu-einigung-medikamente-medizin-gesundheit-europa-eu-lieferengpaesse/a-77127547

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